産休に入るタイミングによって、育休の給付金の金額が変わるので注意
産前産後給付金は、加入している健康保険組合から給付金がでます。
育児休暇給付金は、雇用保険から給付金が支払われます。
産前産後給付金の金額は、欠勤や早退に影響されず支給されるものなので、あまり気にすることがありませんが、
育児休業給付金は、欠勤、早退や遅刻、そして『いつから産休に入ったか』という不可抗力な条件までもが給付金金額に影響してきます。
たった1日、出勤した、欠勤したの違いで給付金の金額が大きく変わる可能性がありますので、よく理解しておいたほうがいいでしょう。
育児休業給付金の金額の決定方法
休業開始時賃金日額 ×支給日数 ×50%
※当該育児休業開始から180日までは67%
なんとなく『これまでの月給の50%~67%がもらえる』と理解している人が多いと思います。
大体の理解はあっていますが、もっと詳しく解説していくと、
『休業開始時賃金日額』というのは、【育児休業の始まる直前の6か月間】の給料から計算されます。
その給料のうち11日以上出勤しているものを1か月としてカウントします。
出勤日が11日未満の給料月があった場合は飛ばし、その前の給料を計算に使用します。
間違えやすいポイント
出勤日の数え方は勤めている会社の締め日によって変わります。
給与の基準になる締め日に何日出勤しているかによって変わるので会社によるので必ず自分で確認するようにしましょう!
【4月給料の出勤日数の数え方】
末締支給の会社⇒3月1日~3月31日まで
15日締の会社⇒3月14日~4月15日まで
1月:出勤20日 月給20万円
2月:出勤21日 月給21万円
3月:出勤19日 月給19万円
4月:出勤20日 月給20万円
5月:出勤20日 月給20万円
6月:出勤18日 月給18万円
7月:出勤10日 月給10万円
7月は出勤日数が11日未満のため、計算に含めない。
それ以前の6か月で賃金日額を計算する。
1月~6月の月給の平均が休業開始時賃金日額の基礎となる。
たった1日の違いで給付金額が大きく変わる可能性も・・・
この『11日以上出勤している月の給料をカウントする』というのが、かなり重要になってきます。
産休に入る時期というのは、出産予定日から決定されます。
赤ちゃんは授かりものですし、月経周期の関係もあるので、出産予定日を自分でコントロールして決めることはまず不可能でしょう。
そのためたった1日の差で給付金金額で得をする人と損をする人がでてきてしまいます。
給料条件がまったく同じAさんとBさんがいたと仮定します。
AさんとBさんはそれぞれ産休・育休に入る予定ですが、予定日はたった1日違いです。
【得したAさんの例】
1月:出勤20日 月給20万円
2月:出勤21日 月給20万円
3月:出勤19日 月給20万円
4月:出勤20日 月給20万円
5月:出勤20日 月給20万円
6月:出勤18日 月給20万円
7月:出勤10日 月給10万円
11日以上出勤した1月~6月の月給で育児休業給付金の計算を行う
6か月の平均月給≒ 200,000円
【損したBさんの例】
1月:出勤20日 月給20万円
2月:出勤21日 月給20万円
3月:出勤19日 月給20万円
4月:出勤20日 月給20万円
5月:出勤20日 月給20万円
6月:出勤18日 月給20万円
7月:出勤11日 月給11万円
11日以上出勤した2月~7月の月給で育児休業給付金の計算を行う。
6か月の平均月給≒ 185,000円
このたった1日の差で、最後の1か月を計算に含めるか、切り捨てるかが決まってきます。
Bさんのほうが1日多く働いているにも関わらず、育児休業給付金の計算のもとになる平均月給がBさんのほうが15,000円も減ってしまいました。
こちらで計算した6か月間の月収をもとに【休業開始時賃金日額】が計算されます。
休業開始時賃金日額
= 6か月間合計金額 ÷ 180
AさんとBさんはこどもが1歳になるまで育児休業休暇を取得したとします。
先ほど、導きだした平均月給をもとにいくらの育児休業給付金がもらえるか計算してみます。
【得したAさんの例】
Aさんの休業開始時賃金日額
120万円 ÷180
=6,667 円
休業開始 6か月間(180日)
6,667円 ×180日 ×67%
=804,040円
休業開始 6か月以降~1歳まで(120日)
6,667円 ×120日 ×50
=400,020円
育児休業給付金合計 =1,204,060円
【損したBさんの例】
Bさんの休業開始時賃金日額
=109万 ÷180 =6,056円
休業開始 6か月間(180日)
6,056円 ×180日 ×67%
=730,354円
休業開始 6か月以降~2歳まで(120日)
6,056円 ×120日 ×50%
=363,360円
育児休業給付金合計 =1,093,714円
Bさんのほうが1日多く働いているにも関わらず、
1歳までで110,346円も給付金の金額が減ってしまう計算になりました。
育児休業休暇は最大で子供が2歳になるまでとれますので、最大で育休をとるともっと差がでてきます。
たった1日、出勤したのかしないのかでこの差は大きいですね。
給付金を最大限にもらうには
出産予定日が決定し、産休に入る予定の日、最終出勤日が決まったら確認しましょう。
最大限に給付金をもらうには下記のチェックが必要です。
【チェックポイント】
☑産休に入る6か月前に欠勤・遅刻・早退をしないようにする
⇒給料が減ると給付金金額も減ってしまう、有給で対応するのが◎
無理は禁物ですが、この期間に残業や休日出勤をすると育児給付金は増えます。
☑出勤最終月、最終の給料の出勤日数を確認
⇒11日未満や最終月がフル出勤であれば問題なし。特に対策不要。
⇒11日以上あれば対策をする。
※1か月の出勤日数は自分の会社の締め日を基準に数えましょう。
最終月の出勤日が11日以上になりそうなときの対策
出産予定日は基本的に自分の意志で変更できませんし、運悪く最終出勤月の出勤日は11日以上なのに中途半端な出勤日数になってしまった場合、
そのままだと給付金の金額が減ってしまいます。
対策はありますので、自分のあう方法を選びましょう。
出勤日が11日未満になるように欠勤をする
最終月の出勤日が11日以上で中途半端になりそうであれば、思いっ切って出勤日数が11日未満になるように欠勤をしてしまうのも1つの作戦です。
欠勤した分の日給はもらえなくなりますが、今後育児休業手当の金額を考えれば休んだほうがいいケースが多いでしょう。
この時、有給休暇では出勤扱いになってしまうので意味がありません。
また、会社によっては欠勤がボーナス査定に響いたりするので、自己判断が必要です。
産前休暇に入るのを遅らせる
産前産後休暇のうち、産後は必ず仕事を休まないといけませんが、産前は出勤しても問題ありません。極端な話、法律上、出産予定日の前日まで出勤してもいいです。
育児休業給付金を最大でもらうためには、最終月をフル出勤できるように、産休にはいる日程を遅らせるのも1つの方法です。
産休に入る時期すでに妊娠後期ですので、体調との相談になりますが、あと1日2日出勤すればフル出勤できるという状況であればこの作戦がおすすめです。
また、『有給休暇は出勤扱い』になりますので有給休暇をうまく使えば、休みながら出勤したことにして給付金金額を多くすることができます。
有給休暇がたくさんある人にはこちらの方法がおすすめです。
ただし、本来産前休暇に入れるはずなのに働いた分の産前給付金はもらえなくなります。
☑産休に入る直前のお給料で11日以上出勤してる6か月が育休給付金の計算に使われる。
☑産休前の最終給料は特に出勤日数に注意。
⇒10日と11日では10万円以上給付金に差が出ることも・・・
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