【医療費の】差額ベッド代は基本的に払う必要はありません
日本の健康保険制度は実に充実しており、医療費の自己負担は3割負担で済みますし、医療費が高額になった場合、高額医療費制度で一定金額以上払う必要がありません。
しかしながら、入院時に大部屋以外の少人数部屋や個室を希望して入院した場合【差額ベッド代】がかかります。
この差額ベッド代は保険がきかず全額自己負担になります。
大部屋を希望していても病院のベッドの空き具合や、ほかの人に感染させる可能性がある病気の場合など医療的個室に入院させられることがあります。
このような病院の都合でベッドのグレードが上がった場合は差額ベッド代を支払う必要はありません。
『他人と同じ部屋は嫌だ』など本人や家族の私情でない限り払わないで済みます。
厚生労働省が通達内容は下記の通りになります。
「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」
第3 1(6)特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。
第3 1(8)(抜粋)患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられる。
① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
【体験談】緊急搬送された病院で差額ベッド代を請求された話
出産で大病院に緊急搬送
筆者は出産を個人病院で予定をしていました。
この個人病院は大きな施設ではないので基本的には正常分娩しか行えないような場所です。
生産期となり、破水したため予定通りに個人病院で無事出産をしました。しかしながら、約1.5リットルと出血が多かったので念のため大病院に緊急搬送されることになりました。
判断力が鈍っている状態での入院の説明
1.5リットルの出血はありましたが、意識はしっかりありました。
そのため入院の手続は自分ですることになりました。
とはいえ、出産に7時間かかっており、体力も気力も限界、そして貧血。
普段よりは明らかに衰弱した状態です。
その時に担当された看護師に言われたことは
『おそらく出産によるものだと考えられるが、38度の発熱がある、また体に管を入れている状況。コロナの関係もあるので個室に入院してください。個室料金は7000円です。』
筆者は事前に【病院都合による個室入院の場合、差額ベッド代を支払う必要はない】ということは知っていました。
今回はこちらがどの部屋に入院したいか確認される前に、病院から個室に入院するように言われたわけですし、理由も病院都合に当てはまる。
当然支払いはいらないだろうと考えました。
「個室料金は7000円」と言われたことに少し引っ掛かりましたが、とにかく出産で疲れていたのでその時はスルーしてしまいました。
「はいわかりました(病院の指示で個室に入院しますよの意味)」で個室に運ばれ1泊しました。
差額ベッド代同意書にサインを求められる
貧血の治療をしてもらい、退院許可がでたので1日で退院することになりました。
退院前にいろいろな書類を渡され内容の確認、サインをするように指示されました。
『書類の提出は後日でいいです。あっでもこれだけは今書いてください。』と差し出されたのは【特別室・個室等使用申込書】を差し出されました。
いわゆる【差額ベッド代支払いに関する同意書】にあたるものでしょう。
差額ベッド代を断る際のやり取り
個室の使用料の話をされていたので『もしかしたら差額ベッド代請求されるかもな~めんどくさいな。』とは思っていたのですが本当に請求されてしまいました。
筆者:病院の指示で個室に入れられたので、個室使用料を請求されるなんて思ってませんでした。
看護師:団体部屋希望とは聞いてないですが・・・担当した看護師も説明したといってますが・・・
筆者:確かに個室の料金が7000円かかると聞きましたが、個室がいいか確認する前に発熱があるからコロナの関係で個室に入院するように言われました。
看護師:そうですか。担当看護師と事務に確認します。
・・・・・・・・・・・・
看護師:今回は個室使用料はいらないとのことです。
差額ベッド代の不正請求にだまされないために
病院の都合での患者が希望しない使用料のかかる部屋に入院する場合、差額ベッド代を患者に請求できないと厚生労働省から通達されています。
病院経営側がこの通達を知らないとは考えにくいです。しかし患者側は知らない人が多いです。
病院も商売ですので患者の無知を利用してせこく室料をとってこようとしてきます。知識をつけてだまされないようにしましょう。
個室を希望しないこと強く主張する
【患者の希望と異なる部屋に入院になった】というのが争点になるので室料のかからない部屋の希望を伝えることが大切です。筆者の場合、自分の希望をうまくつたえられなかったのがもめた一番の原因です。
おすすめの伝え方は『差額ベッド代を払える金銭的余裕はないから室料のかからない部屋にしてほしい』ということです。
空きベッドがないから個室に入るように言われていた場合でも、このように伝えるとなぜか団体部屋に案内されるケースがあるようです。せこいですね(笑)
知識があることを伝える
悪徳な病院はワンチャン患者が無知で素直に差額ベッド代を払ってくれることに期待しているのでしょう。
知識がない人でしたら『入院とはこんなものか』とトラブルなく、ベッド代を分捕ることができるのでしょう。
『差額ベッド代を払う義務がないことを理解している』ことを伝えるとあっさりと『今回は結構です』と請求をやめるケースも多いようです。病院側が明らかに不利ですからね。
これから治療してもらう病院と険悪になるのも患者側からしてもいいことは何一つないので、まずは下手にでて、お伺いする形で確認してみてはどうでしょうか。
同意書にサインしない
差額ベッド代を請求してくる場合、必ず同意書にサインを求められます。
なぜなら厚生労働省の通達に【 同意書による同意の確認を行っていない場合】は差額ベッド代を請求できない、逆にいえば同意書にサインをさせれば病院都合であっても差額ベッド代をとれるということです。
病院には説明義務がありますが、サインをしてしまったあとに『きちんと説明を受けてない、サインを取り消したい』といっても現実問題難しいです。
入院するほどのけがや病気の際は判断力が鈍っていること多いですし、わけもわからずサインをすると支払うはめになる可能性がでてきます。
書類関係は正しい判断ができるようになってから処理しましょう。差額ベッド代に関するものはサインをしないこと。
家族にも情報を共有すること
病気やけがの状況により家族が代理で手続きを行う場合もあります。
家族が差額ベッド代に関する同意書にサインをしてしまった場合でも差額ベッド代の支払い義務が生じてしまいます。
緊急搬送された場合、対応してもらう可能性がある家族には差額ベッド代に関する同意書にサインをしないよう共有しておきましょう。
差額ベッド代でだまされないポイント
①使用料のかからないベッドの希望を伝える
⇒希望のベッドに案内されたら問題なし
②差額ベッド代の請求がされないことを確認する
⇒請求されなくても念のため明細書に差額ベッド代が含まれてないか確認する。
③差額ベッド代を請求されたら『厚生労働省の通達』を知っていることを伝える
⇒同意書には絶対にサインをしない
④それでも解決しない場合、管轄の厚生省に相談する。
⇒同意書にサインをしてなければまず対応してもらえるはず。
コメント