『出産手当金』とは?
会社勤めの妊婦さんは出産に向けて出産予定日の6週間前(多胎の場合12週間)より産前休暇に入ることができます。
出産後、産後の体を休めるため8週間(医師が認めた場合6週間)は就業を禁止されています。
この出産のため仕事を休む産前6週間、産後8週間の間に支払われる手当を『出産手当金』といいます。
この出産手当金は会社で加入している健康保険組合より支払われます。
・育児休業手当とは違い、勤務期間にかかわらず支給されます。
・手当は会社ではなく、健康保険組合が支払うので企業に金銭的負担はありません。
『出産手当金』の計算方法
出産手当金は下記の計算より算出されます。
出産手当金の支給額=
【支給開始以前12か月の標準報酬月額を平均した額】÷30×2/3×【産休の日数】
ではこの【標準報酬月額】とはどのようなものなのかというと疑問が出てきます。
『標準報酬月額』を確認しよう
標準報酬月額とは、社会保険料を計算するときに基準となる金額です。
>>標準報酬月額の決め方 | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
今回は自分の標準報酬月額がいくらなのか?ということさえ分かれば、出産手当金の計算はできるので詳しい説明は割愛します。
自分の標準報酬月額を知るには、給与明細で天引きされている健康保険料・厚生年金を確認するのが確実で手っ取り早いです。
筆者の場合、健康保険料が8856円、厚生年金が16470円でした。
次に自分の会社が加入している健康保険組合の保険率を確認します。
健康保険組合は協会けんぽに加入している会社が多いです。保険証をみれば確認できます。
【健康保険組合の名称 保険料率】でググれば大概でてきます。
令和4年度保険料額表(令和4年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)
保険料率は都道府県で異なります。自分が住んでいる県ではなく、会社の本社がある場所をみる必要があります。
給与よりひかれている社会保険料は会社と折半したあとの金額なので折半額の欄をみて、自分の天引き額と照らし合わせます。
筆者の場合、標準報酬が18万であることがわかります。
【支給開始日が含まれる月の開始以前の12か月の標準報酬月額】の平均ですので、対象の12か月分の標準報酬月額を確認します。
社会保険料の天引きのタイミングは会社によってさまざまです。おおくの会社は翌月の給与引き落としだと思います(4月の社会保険→5月給与より引き落とし)
ほとんどの企業で1か月のずれがあるので注意が必要です。
健康保険の加入期間が1年未満の時は、下記のように決められます。
・支給開始日が含まれる月以前の各月の標準報酬月額の平均
・健康保険加入者の標準報酬月額の平均額
(所属する健康保険組合の全体の平均です。協会けんぽの場合30万円(平成31年1月以降)HPで確認できると思います)
あとは12か月分の標準報酬月額の平均をだします。
・標準報酬月額は毎年4月~6月の給与で見直しがされるので、6月以前と7月以降で金額が異なる場合がある。
産休の日数を確認しよう
出産手当金を計算するのに次に確認が必要になるのは【産休の日数】です。
産休には、産前休暇と産後休暇があり、産前は6週間の42日間(多胎の場合12週間)で、産後は8週間の56日間の合計98日が基本となります。
出産予定日によって産休に入る日が決定しますが、出産予定日ちょうどに生まれることはまれです。
出産手当金は実際に仕事を休んだ日数分だけ支給されます。
産後休暇は出産日より8週間と固定ですが、産前休暇は出産日より早く生まれると短くなります。逆に出産日より遅く生まれると長くなります。
出産手当金は出産日で損得がある?
出産予定日よりも早く生まれると産前休暇が短くなります。
ですので、早まった分だけ出産手当金の支給額が減ります。逆に出産予定日より遅く生まれると遅くなった分だけ支給額が増えます。
出産手当金だけをみれば、予定日より早く生まれたら損、遅れたら得となります。
月額報酬20万の人であれば1日当たり4400円程度増減します。
同じ出産でも生まれる日によって損得があるのは不公平に感じますが、母子とも健康なお産が一番大事なので、あまり気にすることもないと思います。
出産手当金を増やす方法はある?
出産手当金は標準報酬月額によって左右されます。
標準報酬月額は毎年4月~6月の給与で決定されますので、この期間の残業や休日出勤をし、給与を増やせば標準報酬月額を多くなり、出産手当金も増えます。
しかしながら、標準報酬月額が増えると健康保険料・厚生年金も増えますのでトータルの支出を考えると結果的に損することが多いでしょう。
出産予定日よりも遅く出産することによっても出産手当金が増えますが、コントロールできることではないです。
ですので、意図的に出産手当金を増やす方法はないといえます。
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